今回、5月5日に「第29回ライジング・ダンス競技大会in 奈良」という社交ダンスの大会が開催されました。
全英選手権で日本人初の3位に入賞された田中英和先生よりこの大会の見学のお誘いをいただき、初めての社交ダンスの見学に興味津々で勤務終了後に急いで隣の体育館に移動しました。
受付で私の名前を告げるととても丁寧な対応をしていただき、観戦中もいろいろな方からご配慮ある説明を受けながら社交ダンスの知ることが出来ました。
いつも当院では気さくに話をしている田中先生がとても偉大な方だと身に染みて実感した日でもありました。
生体力学的に見た社交ダンス
ところでバイオメカニクス(生体力学)を専攻していた私にとってこの社交ダンス見学は大変勉強になりました。幸いにもこの大会がプロアマの大会で、また大会運営者の方の御配慮もあり最前列で観戦させて頂いたおかげで社交ダンスの特徴をバイオメカニカル的に分析することができました。
これはどの競技にも共通している事なのですが、社交ダンスは足の親指の付け根(拇指球)への加重と股関節を入れる(軽く曲げる)状態での動きがとても重要だと思います。
プロの選手は踵から拇指球への加重移動がとてもスムーズで、また拇指球の回旋運動(拇指球を軸に左右に動く動作)も大変スムーズでした。この動きの場合はヒザの内側部への負担が無くなり、膝の鵞足部や内側半月板への負担が大幅に軽減されます。
それに比べアマチュアの選手は“背中を伸ばすこと”に意識がいきすぎてしまっている傾向にあり、それによって股関節が伸びて「ギクシャク」した状態(突っ立っている)で太腿も突っ張ってしまい、膝の大腿膝蓋靭帯や大腿膝蓋関節への負担が懸念されました。プロ選手の場合は股関節を入れた(軽く曲げた)状態でありつつ背筋を伸ばされているので地に足がついた状態で上下の無駄な動きが少なく、拇指球と股関節を正しく使っていることで、自然と骨盤の回旋(キレ)も良くなるため、動きがとてもシャープで綺麗に見えていました。
ただ、後はいくら綺麗な動きをしていても相手の背丈や動きの差があればフォローが必要となる分、動きの上手な方のパートナーにその代償が掛かってしまうため、いくら良い動きをしていても負担がかかってしまえばケガの原因のにもなってしまいますし...社交ダンスはとても奥が深い競技だと思いました。
また、結構な中高年の方でも本格的にされている方がたくさんおられる中、勝ち進んだりエントリー種目が増えると連続で踊り続けるハードさもあり、今まで私が思っていた社交ダンスの想像を遥かに超える大変な競技だと思い知らされました。
これまで社交ダンスを見学することなく、多くの社交ダンス愛好家や選手の方にバイオメカニカル的な観点でケガの再発を防止する指導をさせて頂いていましたが、この度の田中先生のご配慮は更なる知識のスキルアップとなり、ただただ、報恩感謝の気持ちでいっぱいです。