当院では、足の障害の分析とバイオメカニクス(生体理論)による下肢障害のアプローチを25年前から開始している事は、過去の足のブログで紹介させて頂いています。
これまで、多くの方の足やヒザのトラブルの解決に携わり、強く実感している事!それは、幼少期に足の歪みを見つけだすことがとても重要だという事です。
日本の場合は雪駄や草履の文化が発達し、欧米に比べて靴の歴史が浅いといえます。まず、私は雪駄や草履を決して否定しているのではないですよ!
私たちの先人たちは東海道五十三次や水戸黄門でイメージされるようにとにかく長い距離でもワラジで歩く習慣があり、更にその前には裸足で野山を駆け巡る時代もありました。
現在でもアフリカや南米ではほとんど裸足で生活をしている部族もいるようですが、産業革命を機に世界的に靴文化が根付き始め現在に至っています。
逆に言うと現代人に屋外で裸足で歩くことは大変危険で、障害物から足を守るためにもシューズは必要不可欠となった現代、その代償として起きているのが足の機能の退化と言われています。
かといっていまさら裸足文化やワラジの時代に戻すと足に多大なダメージを与えてしまい逆効果!!
特に、近年に問題になっているのが外反足と言う足の歪みで、その歪みが外反母趾や脊柱側弯・腰痛やひざ痛など下肢に多大な悪影響を与えている事はアメリカ足病医学会では警鐘を促してきました。
【男の子は10歳、女の子は9歳で決まる!?】
では現代人はどの様にして対応すればいいのか?
①足の歪みの有無を調べるには足にかなり詳しい専門家に相談することが重要なのです。
一般的なスポーツ店や靴屋さんでは、専門的な解剖学や生体力学を知らずに日本特有の職人感覚で対応されることが多いのです。必ず学術的に確立している専門家に診てもらうことが必須です。
②足の歪みは男の子で10歳まで、女の子で9歳までに見つけ出すことで、カスタムメイドインソールなどで正しくコントロールすると足のバランスは回復する確率が高くなります。さらに、幼少期のできるだけ早い段階で見つければ、よりその確率は高くなります。
③足を鍛えようとして裸足の生活や歩行・ランニングは余計に状態を悪化させるので禁物です。という事で、ドイツでは身体検査や視力検査と同じように足の測定が学校単位でも行われています。その時点で異常が見つかれば歯科検査と同様にクリニックを紹介され適切なインソールを処方される制度があるそうです。その慣習からドイツ人は日本人よりも足のアーチ(土踏まず)が高い傾向にあるのがその特徴です。
④現代社会においては退化した足や歪んだ足からのトラブルから身体を守る方法は機能的なシューズを探し出し、状態によっては高機能インソールを装着させて、正しく補正された足の状態でランニングやウォーキングをしっかりと行う事が重要。
また、アメリカでは整形外科から独立して足の症状だけを見る足病専門医が存在しています。その足病専門医の分野でも足の歪みを分析して対応する医学が発達しています。その他にも靴処方士や足底板技師も存在、、インソールと靴による処方で外反母趾などの足・ヒザの症状に対応している専門家が存在しています。日本人が歯科医院に受診する感覚で足の専門的な治療を受けることができるのが足病専門医のクリニックで気軽に子供の足に検診も行ってます。
【足にもメガネのようなものを】
いずれにしても日本はまだまだ足とシューズの後進国である中で、詳しい専門を探し出し、早く正しいシューズとインソールに出会うことで、お子様のすくすくとした成長にかなり役立つと思います。
10歳までに歪みを正すことが重要ですが、10歳を過ぎても足のメガネの様にして正しいシューズやインソールを着用すると姿勢が正しく保たれます。そうすることで、足の歪みによる二次的な障害を防止できる可能性も高くなります。
そして、一番避けて頂きたいのは歪んだ足を放置しないでほしいという事。将来的に外反母趾など足・膝のトラブルに背中の歪みや骨盤の歪みを引き起こし腰にも障害が発生したり女の子は生理不順になる場合もあります。
詳しくは「おんなの不調は足から治る」(立川智之著:ぶんか社)又はトータルヘルスケアのホームページをご覧いただくと参考になるかと思います。