度々ご紹介しているように、当院には体のトラブルに苦しむスポーツ選手がよく通っています。中でも、力士は「ひざ」「足首」など下半身の障害が圧倒的に多いのです。稽古や取り組みの際に、自分の体重で損傷させてしまうからなんです。
ある部屋の力士も又、稽古中に膝を損傷し、続いて足首と。。
手術して復帰に向けリハビリ、トレーニングを積んでいました。
もちろん、術前に比べて良くはなったのですが、「膝を曲げられない」「足首が万全でないから足の甲が返らない」など、相撲に必要な『そんきょ』の姿勢が全くできない状態でした。彼の場合、傷は神経にも及んでいた為、感覚がつかめないんですよね。ぶら~んとなっているとでも言うんでしょうか。
その頃、当院では乾先生と言う再生医療の先駆者が取り組まれている再生療法を採り入れていました。当院は、医療機関とも提携しています。これは、専門医に患者さんを紹介するだけでなく情報交換や、新しい治療法などオープンにするなど互いの研鑽にもつながっています。
乾先生も、その一人。再生療法とは、簡単に言うと眠っている細胞を活性化させ治療する方法です。乾先生は、主に癌患者向けになさっている治療で、当院に来られる障害とは大きく違います。
しかし、当時同じように肩のトラブルに苦しんでいた、関取であった阿夢露さんが再生療法と当院の施術のコンビネーション療法を試みており、すでに結果が出ていました。障害レベルによって、施術のコンビネーション療法を用いる事はありますが阿夢露関の回復には私も驚きました。どの施術と組み合わせるかも非常に大切な事だと改めて思いましたね。
さて。
先述の力士にとって阿夢露関は兄弟子にあたります。
間近で回復する姿、阿夢露関の勧めもあり再生療法をも試してみることに。阿夢露関に結果が出ても彼に当てはまるとは限りません。ですが、「可能性のある解消方法は全てやりたい」と強い意思がありました。私も、彼にはまた土俵に立って欲しい。復帰して欲しい思いでいっぱいでした。取り入れて、今で3~4カ月。こちらの力士の場合は、自分で患部に注入する方法です。今は、その後に温熱療法機をあて内部を活性化させています。回復スピードが更に上がりました。神経感覚が取り戻され、そんきょの姿勢もできるようになりました。もちろん土俵に上がって稽古も。
私の目からみても回復は明らかですが、「足首への力の入り具回が全く違ってきている」と本人も喜んでいます。これは、当事者でないと分からない感覚かなと思いますね。そして、なんといっても再起不能だと誰もが思っていた土俵への復帰をこの再生療法後の3か月後に果たしている奇跡は角界でも話題を呼んだそうです。
あらゆる機関や医師とのつながりから乾先生とも出会い、再生療法を採り入れることができました。本当に感謝ですね。ただ、この力士の奇跡のカンバックには阿武松親方の献身的なバックアップと膝関節の超スーパードクター、堀部医師の最も的確な判断と分野を超えた療法への理解と都度のアドバイスがあり実現したカンバックであったと確信しています。
私にとってこの様な貴重な経験をさせていただいている事からヒザで苦しまれている高齢者の対応も容易にできている感があります。だって、重さは膝への大敵と言われている中で力士への施術はかなりの思考や労力が費やされるのですから…
阿武松親方・堀部先生・乾先生・そして頑張って諦めずに回復した力士の天津さんには貴重な体験をさせていただき感謝・感謝です。