前回のブログで社交ダンス界のシルバーの星を紹介させて頂きましたが、今回はこのシルバーの星の師匠に当たる田中英和先生を紹介させて頂きます。
ちょうど昨日は午後一番にプロゴルファーの倉田珠里亜選手がお越しになり、先々週から続いていたプロスポーツ関係者の施術の殿(しんがり)が社交ダンス界のレジェンド田中英和先生でした。
日本人初の成績
欧州が圧倒的強さを見せる社交ダンス界で日本人で初めて世界トップレベル(全英選手権で日本選手初の第3位)の実力を誇るのが田中英和選手でした。この田中選手が引退したのが1998年で、それからは指導者として活動されていて、当院へは約20年ほど前から来院されています。
私は全く社交ダンスの事を存じていなかったことから「松村ご夫婦からの紹介」だという事もあり、てっきり現役の選手だと勘違いするほど、とても若々しく、そして気さくな方で、まさかこの世界のレジェンドだとは思っていませんでした。また、田中先生もご自身の成績を「鼻にかけている」感じが微塵も無く、本当に心技体が整った素晴らしい人格者です。
(約20年前東生駒の院にて)
現役時代よりも厳しい現実
通常、社交ダンスは相手との呼吸とタイミングで行う競技であることから、どちらか一人が突出した能力を見せても成り立つ競技ではないのです。
指導者となった田中先生はアドバイスを行うために、いわば相手をリードして指導しながら相手の呼吸に合わせる技術も必要となるため、どうしても田中先生が無理な姿勢をとらないといけない状態が増え、そして微妙に身体に歪みが生じてしまい故障が多くなる…という傾向がありました。実際、過去には当院からヒザの名医を紹介し「手術も視野に入れなければならない症状」だと説明を受けたり、他にも結構な症状の故障もありました。「もしかしたら田中先生の場合は現役時代よりも現在の方が満身創痍なのでは?」と言っても過言ではないような状態でした。
ただ田中先生の素晴らしいのは、私が指摘した部位を把握するとすぐに克服する感性をお持ちになられているところです。「もしかするとダンスの動きを利用しながら治しているのでは?」と思えるくらいです。どうして私がこの様な表現をするかというと、酷い故障の割にはいつも治りが早いのが田中先生の特徴で、負傷原因や根本原因が分かるとすぐにその動きを修正する能力にもたけているのだと思います。ある意味で多く見てきた各プロスポーツ選手の中でも、最も適応能力と修正能力があるのが田中先生かも知れません。
この適応能力が社交ダンスにも活かされていて高成績を残されたと思うのですが、田中先生の場合は身体が天性的に速筋と遅筋の両面の筋肉をバランス良く持たれていて、それぞれ異なる筋肉のギアの切り替えをできることで早い動きと柔軟な生ある動きを織り交ぜることが出来るのではないかと考察しています。(あくまでも筋肉を触ってなのですが?)
ただ「天性」というと持って生まれた能力だけで出来る「天才」と思われがちですが、田中先生の場合はただの天才ではなく、ケガの治り具合を見ている限りでは自らが考察しての修正能力に、田中先生ご自身の「努力」を見ることが出来きますので、現役時代のプレーでも「努力による修正能力」が高い選手であったと思います。
とにかく当院では楽しく愉快な名指導者
田中先生は治療が終了した後の身体の表現が楽しく、その治療効果を現す動作が社交ダンスの動きなのですが、治療を受けている時の表現も独特な表情をされているので「流石アーティスト!」といつも感心させられます。
その表現力では数々のTVにも出演し、映画『Shall weダンス?』にも出演されるほどで、様々なメディアでお目に掛ることが出来ます。
現在も後進の指導を行うため現役時代よりも遥かに国内外の移動距離も増え、体力的にも厳しく身体にはずいぶん負担が掛かっているに違いありませんが、全く疲れも年齢も感じさせない若々さで後進の指導を行うため社交ダンス界のお役目として更なる発展のために過酷な活動をされている姿をとても尊敬しています。
私もこの開業して30年を経過しましたが、田中先生が若々しく活動されているのを見ていると負けていられません!その意味では私に勇気を与えて下さっています。
田中先生ありがとう!