昨日5月28日は大相撲五月場所の千秋楽でした。
お陰様で阿武咲関も勝ち越す事が出来て安堵しています。
藤田一也選手を診ているさなか掛かって来た緊急電話
実は先場所中に膝を痛めてしまい、中日の日曜日の夜に阿武松親方から「阿武咲が歩くのもままならない」との連絡を受けましたが、その日は運良く横浜から来られていたベイスターズの藤田一也選手をたまたま大阪院で診ていましたので即時対応する事が出来ました。
(当院にてリハビリトレーニングの休憩のひと時:右から阿武咲関、藤田選手)
診断は結構酷い状態…名医が出した方針は?
しかし、状態は悪く「休場やむなし」と判断して、直ちに膝の大権威でいらっしゃる正風病院の副院長に診察をお願いし精密検査を受けることになりました。そして下った診断名は「半月板損傷」「陳旧性の外側靭帯、後十字靭帯断裂の悪化」でした。
堀部医師からは「これまでの経緯を考察していても手術を回避して保存的療法で来場所復帰を目指すべき」との見解を頂き、阿武咲関も治すプロセスを描くことができたみたいで早期復活の自信をのぞがせていました。
先進の医療を提供下さった皆様の協力でなし得たプロジェクトX
かと言って腫れも酷く歩行もままならない状態でしたので、ここでプロジェクトXが開始されました。
まず、MAF再生療法の乾利夫先生に「MAFカプセル」の摂取法を相談、そして体内のでミトコンドリアに潤沢に酸素を送り込むことが出来る「ナノバブル水」の飲用法を教えていただくためにブライテスト社の岩永副社長にご協力を頂きました。また、患部の治癒促進を狙ってレイ&カンパニーの見片社長が「A2電子」の貸出しをして下さり、希少で特殊な固定包帯が必要だったのですが、カナケンの大東支店長が見つけ出し即時納入して下さったり等々…その道のプロフェッショナルの皆々様の熱いご協力のお陰様で阿武咲関は早期復活することができ、今場所では勝ち越すこともできました。
患者さんの傾向や意識レベルまで考察して診断してこそ名医の奥義
きっと堀部医師はこのドラマを見据えて「手術」ではない先の見解を示されていたのだと思います。
この名医は画像診断だけではなく触診はもちろん、環境や患者本人の意識レベルまで考察される本当のベストドクターで、それに応える様に阿武咲関も私がアドバイスしたケア療法を創意工夫して早期復帰を目指していました。
阿武咲関の適応能力に関心
そして阿武咲関は今場所ですぐに復帰を果たしたのですが、やはり満身創痍!稽古があまり出来ていなかったため力強さに欠けており不安の黒星スタートとなりましたが、彼には己の状況や状態を鑑みた適応能力と考察能力があるため、そこからは勝ち星を先行していき、見事に勝ち越しとなりました。
先代親方にも喜んで頂けて感無量
実は何年かぶりにちょうど昨日、先代親方(益荒男)とお食事をさせて頂いて阿武咲関の話で花を咲かせていたところでした。堀部医師の診断と先を読む眼力、そしてそれに応吸する様に適応能力を見せてくれた阿武咲関、今回もまた色々と勉強させて頂きました。
引き継がれる阿武松部屋の力士に対する思いやり
今回紹介させて頂きました阿武咲関が所属している阿武松部屋は、先代の親方(益荒男)が大変礼節に厳しく、また指導も厳しかったのですが、力士に対する思いやりがとてもあった親方でした。
私はこれまで他の大相撲部屋とも関わる機会が少なくは無かったのですが、この阿武松部屋では特にそれを感じました。
今回の阿武咲関の負傷の際も阿武松親方(大道)自らが車に乗せて付き添って来られましたが、先代の時代には大けがをした力士を当時の女将さんが千葉県から大阪まで車に乗せて付き添われて来られていましたし、現在の部屋付けの不知火親方(若荒雄)もやはり負傷した力士を自らの車に乗せて千葉から奈良まで来られていました。
もし、大相撲を目指す方がいらっしゃる場合は、この阿武松部屋は思いやりのある親方ばかりですのでおススメできる部屋だと思います。
先代親方の話は後日にこのブログで紹介させて頂きますが、良い意味でとても真っすぐで妥協を許さない指導者、今の親方は年齢的にも若いためなのかとても温厚な性格ですので厳しさというよりも同じ目線で指導されるという雰囲気ですので、これから入門する若い方にとってはチャレンジしやすい環境にあると思います。
最後に阿武咲関の現師匠は千秋楽終了後直ぐに、今回の阿武咲関の負傷でお世話になった堀部秀二先生や乾利夫先生など関係者に勝ち越しの報告とお礼の電話をされている先代譲りの律儀な方ですので、どうかこれからも阿武松部屋の力士たちの応援を宜しくお願い致します。