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ブログ2023.01.06

原因不明の歩行障害 学生スポーツ選手の奇跡の復活劇②

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原因不明の歩行障害 学生スポーツ選手の奇跡の復活劇②のアイキャッチ画像

昨日のお話のつづきになります。

超音波画像診断のエキスパートが問題解決の糸口を見つける

この結果を踏まえ理解を示し柔軟に対応して下さったのが正風病院の超ベテランの整形外科医 堀部副院長の存在でした。先ず堀部先生は膝関節から部位を拡大させて徹底的に検査をやり直してくださり、そこで同病院が誇る超音波画像診断のエキスパートの金本先生が問題解決の糸口となる膝関節周辺の一部の血管が異常に「蛇行」していることを発見されたのです。

中野脳神経外科クリニック 中野院長の仮説が更に事態を好転させる

ただ、それでも「血管蛇行」と「神経障害」の関連性が釈然としないまま、その超音波画像診断のコピーを頂き、その足で直行したのが公私ともにお世話になっている「中野脳神経外科クリニック」の中野敦久院長のもとでした。そこで「予想だ」にしていなかった仮説を立てられたのが中野院長だったのです。「交通事故で負傷した際に大腿部が腫れ上がり、その事で膝部分にある神経と血管が癒着してしまい、膝を曲げたり伸ばしたりする際に血管が神経を刺激して歩行障害を起こしている」という強い確信を持たれた仮説でした。

膝関節の超ベテランの名医が専門外の分野で奮闘

この仮説を基にもう一度、正風病院に受診したところ、堀部先生は直ぐに理解を示してくださり、人脈のある基幹病院や大学病院の医師に連絡を取って、そこでたどり着いたのが とある大学病院の血管外科教授でした。そして患者さんがこの血管外科の教授を受診したのですが、受診して出た結果は今度は「神経内科」への受診のススメで、改めて違う大学病院の神経内科に受診すると、また滋賀で言われてきた「詐病」を示唆される始末だったのです。患者さんはもちろん、私たちも期待から絶望へと混迷に逆戻りする結果となりました。

しかし、通常では「専門医が診断している結果を以て幕引き」となるところを、この超ベテランの堀部副院長はこれまでの経験値と人脈と進歩的な考えで、整形外科でも神経に詳しい大学病院の教授に相談を持ち掛け、患者さんとインフォームドコンセントを繰り返し、結果的に手術に踏み込まれたのです。
そして、実際に手術で疑われている部位を開いてみると金本先生が発見した血管蛇行が見つかり、中野院長先生の仮説の通り神経が血管に癒着していることを確認する事が出来できたことから、神経と血管の癒着を剥がす手術に着手されたのです。

専門領域を超えた先生たちの英知の結集で将来ある青年を救うことが出来た証

術後、退院するころには一年以上も抱えていた症状が全くなくなり、後遺症もなく手術は大成功で終えました。滋賀県の総合病院で「詐病」と診断されてからも途方に暮れる中での長い道のりでしたが、各科・専門医の領域を超えた医師たちが「未来ある青年」の為に英知を結集し解決できたことに、心から感動を覚えました。
また、今まで私的には“医師”と“治療家”の間には垣根と言うか?壁と言うか?なかなか意思を疎通する事が難しい点があるという事を否めませんでした。しかし正風病院の堀部副院長をはじめ金本先生、中野脳神経外科の中野院長は、私たちがつかんだ症状を肯定的に捉えてくださり、その事によって医師と治療家がワンパーパスとなって難題に立ち向かい解決できたということにも、本当に感謝・感激・感動であります。特に超ベテランの堀部副院長の奮闘が無ければ今回の感動のドラマはありませんでした。

しつこさこそが奇跡を呼ぶ

思い返せば、当院から堀部副院長を紹介し「膝関節に異常はない」と言われ一度は堀部先生の手元を離れるも、やはり当院で診ていると「膝は大丈夫で、脳でもない、ましてや“レスリングをしたい”と言っている子に絶対に詐病はありえない。膝の関節ではなく周囲の問題では?」と、もう一度頼み込んで堀部副院長を受診した経緯があり、その際に私たちも立ち会いました。
そして、その時に堀部先生から頂いたお言葉が「あんたら(私たち)はホンマにしつこいな~。でもそのしつこさこそが奇跡を呼ぶんや」でした。一人の青年を助けたい想いから「原因不明」で終わらせず、私たちがその青年に向き合った姿勢を評価してくださった本当にとても嬉しいお言葉でした。
そして、その後はこの堀部副院長が「しつこく、しつこく」色々な方面の医師にあたってくださった結果、この一人の青年は救われ、その後1年以上のブランクを経て滋賀県のレスリング大会でベスト4にまで進出し有終の美を飾られました。
また、この症例は大学病院でも研鑽され、これから国際的な学会でも発表される事となっております。
中野院長は「これからの常識(交通事故後の症状)を覆す新たな発見」だと言ってくださいました。この奇跡の回復劇の一助になれました事は本当に幸運なことで、今後につながる貴重な経験をさせて頂いたこと、そしてワンパーパスとなって動いて下さった諸先生方には心より「神恩感謝」申し上げます。

合掌

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