COVID-19の緊急時事態宣言によって「不要不急の外出」の自粛が求められている今、皆様どのようにお過ごしでしょうか?
私は本日4月19日は大阪での勤務があり、そして明日も大阪で仕事があるため今日は大阪で宿泊することにしました。
私は普段から諸々の用事に追われて、深夜のニュース以外のTVを観ることがなかったのですが、今日は時間もあってホテルで何気なしにTVのスイッチをつけたところ、ちょうどNHK特集が始まるところでした。
すると、どこかで見た光景!そう、私のなじみの方がNHKで特集にを組まれていました!その方は私がよくお世話になった知床半島ルシャの「番屋」の大瀬初三郎さん(84歳)という方です。
知床ウトロでの経験
私は20年前に知床に興味を抱き、ウトロの街を知るきっかけになりました。ウトロでは「番屋」という観光客だけでは無く地元の方にも愛されている海鮮居酒屋へ立ち寄りました。そこは人情味あふれる鍋田さんというご夫婦が経営しているとてもおいしいお店で、私は鍋田さんご夫婦と意気投合し、それ以来 大晦日や正月も家族ぐるみでお付き合いする間柄になりました。
当院のホームページのグループムービーでも海鮮料理「番屋」さんのお店を紹介していますので、一度観ていただければ幸いです。
知床半島突端での往診
知床半島には5月ごろから10月末までの間、鮭漁を行う漁師さんが共同生活を行う「番屋」という施設があります。
お風呂は薪(マキ)で炊く「五右衛門風呂」で、炊事も薪(マキ)で調理して、飲料水は「岩清水」、電気だけは自家発電という環境の中で半年間ほど生活されています。
私はご縁があり毎年、夏になるとこのルシャの「番屋」にも往診をさせて頂いていたのです。
大瀬初三郎さん
半島番屋の船頭で知床の生態を知り尽くしている、本当に素朴で純粋なおじいさん!私が最初に行ったころには俳優の菅原文太さんや作家の立松和平さんがいらっしゃったりと「へき地の中のへき地にどうしてこのような有名人が?」と驚いていたことを今も鮮明に覚えています。でも全ては、この大瀬さんの人柄に惚れて、自然と大瀬さんの人柄を求めて有名な方々もお越しになっていたのだと思います。
本当にすごい迫力でクマを叱りつける
私の娘が小学生の時、一緒に「ルシャの番屋」に連れてゆき、ルシャ川でサーモン釣りをしていたところ、突然、親子熊と至近距離で出くわすハプニングがありました。娘がサーモンを引き上げている最中で全く身動きが取れず約2mの距離までクマが大接近するというピンチの状態に!すると、はるか遠くから監視をして下さっていた大瀬さんが車を飛ばして現場まで駆けつけて下さり、そして大瀬さんが大声で発した「コラ!」の一声でクマが頭を下げて退散するという信じられない光景を目にしました。
身体が小さくて素朴なおじいさん
この大瀬さん、小学時代の娘と同じくらいの背丈なのにクマに発する言葉にはすごい迫力があります。
そして、もう一つ凄いのが、私たちが絶対に見えないはるか先のクマの動きまで把握している視力の良さです。クマにも名前を付けて親子関係も完全に把握されており、超人的な才能を持たれている強者なのですが、本当に純粋で謙虚で素朴なおじいさんです。
オリンピック選手も敬意を表する
実はこの番屋には往診がてらにオリンピックの金メダリストや世界選手権の金メダリストに同行してもらったことがあります。この世界の第一線で戦っている選手たちも大瀬さんの人柄には敬意を抱き感動していたことがとても印象的でした。
このルシャの番屋の大瀬さんは「ダーウィンが来た」など、よくテレビで特集を組まれているのですが、おそらく撮影したテレビクルーも大瀬さんの人柄に惚れこんでいると思います。
この様な素晴らしい大瀬さんと毎年、ご縁させて頂けたことに報恩感謝しています。