先日、阿夢露さんの引退が発表されました。
阿夢露さんと私の初めての出会いは6年ほど前。
ちょうど阿夢露さんが十両初昇進で破竹の勢いで連勝を続けている最中に膝に
大けがをしてその後に手術を行い懸命なリハビリを行っている時でした。
正直、当時の印象としてはこの方が関取?と思えるくらい身体が小さく元気がないイ
メージがありました。
彼によく話を聞いていると、リハビリを重ねていても膝が伸び切らず相撲を取りた
くとも取れないどころか、トレーニングもままならない状態とのことでした。
深刻に悩み引退も脳裏に浮かぶ状態だったそうです。
その後しばらくして、当時開設していた奈良県生駒市の院に阿夢露さんが通院し
たいとのことで6か月間ほど受け入れて復帰へのプランを組み立てた記憶があります。
同じ頃、OFFシーズンのプロ野球選手も当院には多く通院されていました。
その中でも当時は、広島カープで活躍されていた(現在、西武ライオンズの打撃コーチの)
嶋重宣さんとのペアで施術を実施。
嶋さんが、元気のない阿夢露さんを上手にコントロールして頂き大変助かった覚えがあります。
また、選手同士の友情というか信頼というものを垣間見ることができたのも思い出に残って
います。

その後は各ジャンルの先生方にお世話になり連携を取りながら復帰を遂げて「序二
段」からの再起で初入幕を果たすという奇跡を起こしたことは当時のTVでも幾度か取
り上げられました。
しかし、その後も足の骨折などの負傷を負う毎に即時対応して休場することなく関取
の地位をキープしてきましたが、昨年の初場所に運命の時が来ました。初場所の取り
組み中に肩関節にかなり酷い大けがを負ったのです。
再び各諸先生方の協力を得ながら休場することなく施術に努め、画像検査でも相当な回
復をみとめられたものの、相撲勘が戻らずに引退を決意されました。
阿夢露さんという方の印象は素朴で真面目で日本人以上に「和」の精神を持つ素晴ら
しい人格者でした。あの力士ほど関取になる前となった後とで対応が異ならない力士
はいないと断言できるほどで、どこに行っても写真撮影やサインも断ることなく謙虚
な外国人力士でした。当院とお付き合いのある企業に、一緒にお伺いした際もとても
気さくにスタッフの方と写真撮影やお話をされていました。
(当時の紹介記事です)
http://womanlife.co.jp/topics/k-8024
さらに彼は日本の文化が大好き。よく治療の合間にはお城や忍者屋敷に行ったり、
伊勢神宮の奉納相撲がある時には朝5時からの早朝参拝に二度ほど案内するなど思い
出いっぱいの力士です。
年を通して接する機会が最も多かった力士で今回の引退は珍しく涙が出るくらいの思
いになっています。
現在の香芝の院の棟上げ式の時もちょうど通院中で式に立ち会っていただけただけに、
私の施術者としての青春の1ページが終わったと思うと本当に思い出が巡り寂しい思
いです。

阿夢露さんの復活計画には本当に多くの諸先生方にお世話になりました。
整形外科医で膝関節の名医:堀部先生 再生医療のエキスパート:乾先生
肩関節の名医:山田先生、義肢装具士:瀧谷先生
トレーナー:篠原先生 手の外科 多田先生 整形外科 内田先生 金本先生には
懇ろに感謝申し上げさせていただきます。